ブラジルエコツアー

第3日目 トメアスへ  (3月28日)
ホテルのプールと食堂朝6時に起きトランクを詰めなおし食事に。このホテルはアマゾン川に面している。市内にヒルトンホテルもあるのだが、川に面したホテルのほうがいいのではと、わざわざこちらを予約してくださったらしい。
食事はホテルのプール脇をとおりアマゾン川の上に立つ別棟でとる。
アマゾン川は広くて本当にたっぷりの水が流れている。流れていると言っても日本の川が流れているのとは感じがまったく違う。アマゾン川はベレンで海抜4m、奥地のマナウスでさえ40mで高度差がほとんどない。激しい流れはなく静かな凪の海のような水面だ。

ブラジルのホテルの食事はバイキングだったが、必ずあるのが何種類もの生ジュース。ここでいただいた生ジュース(クプアス)は甘くなく、横に砂糖が置いてあって自分で甘さを調節するようになっていた。生ジュースはどれもとてもおいしく、食事のときは何を飲もうかと迷うほどだった。もうひとつが マンジョカ芋のパン。手前のお皿の上にクレープのように薄く焼いて畳んであるのがそうだ。うっすらと塩味がしてこれもおいしく朝食では必ず皿にとって食べていた。
  ホテルの朝食(1)ホテルの朝食(2)

ココヤシ売りの少年朝7時20分、いよいよトメアスに向けて出発。トメアスはベレンの南240キロに位置する日本人移住地だ。途中グアマ川をフェリーで渡る。フェリー乗り場にココヤシ売りの店があった。12歳ぐらいの少年が店番をしている。ココヤシは1個6センターボ(約2.4円)。上を切ってもらいストローを突っ込んで中のジュースを飲む。ほんのり甘く少し青っぽい味がした。ブラジルでは義務教育は8年間だが、学校の数が足りないので午前・午後・夜間の3部制をとっているという。また義務教育も有料で、学費を払えないため途中で来なくなる子供たちも多いと言う。

フェリーは車や人を乗せた船体をタグボートが後ろから押して進む。同じ時間に対岸からも出発するのでちょうど真ん中であたりで反対行きの船とすれ違うことになる。
グアマ川のフェリー

ロンバーダトメアスに向かう途中で面白いものを発見。「ロンバーダ」、別名「スプリング壊し」。写真では少し分かりにくいが、道路の途中が幅1.5m、高さ約20cmくらい盛り上がっているのだ。民家が近くにあると出現するのでどうやらスピード出しすぎを防止するためのものらしいのだが、結構高さがあり、そこを通るときはスピードをかなり落としていても反動がある。慣れている人はいいが、初めての道を夜通るときは標識をしっかり見ていないと車を壊してしまいそうだ。

トメアスジュース工場昼前にトメアスに到着、農協が運営しているジュース工場を訪れた。理事の坂口氏に工場を案内していただく。ちょうどクプアスマラクジャが運び込まれていた。人気No.1のアサイはアサイヤシの実でリコピンやアントシアンがたくさん含まれていてカロリーも高くスポーツ選手に愛飲されているそうだ。ここでタペレバとカシューのジュースをいただく。タペレバはオレンジの香りがする柑橘系の果物。カシューは文字通りカシューナッツの実。ナッツは種だが実はジュースになるのだそうだ。ここで作られたジュースは日本に輸出されフルッタ・フルッタで購入することができる。
ジュースをいただいた後、稲田さんと一緒に堆肥場を見学する。ここではのこくずやジュース工場で出た絞りかすを堆肥にしようという試みが6年前から始まっている。

加藤旅館のお昼お昼は加藤旅館でおいしい日本食をいただく。いまどき、日本でもなかなか見られないような献立だ。きんぴら、ふろふき大根、ひじきの煮つけ、さつま揚げとインゲンの煮付け、サトイモに似た芋とがんもどきの炊き合わせ、アサリの味噌汁、魚のフライ、サラダ、漬物。こんにゃくもさつま揚げも漬物もすべて手作りだ。日本の味がブラジルの奥地で大切に伝え継がれているのを知ってとてもうれしくなったと同時に、普段、時間が無いとインスタントやレトルトでつい済ませてしまうことの多いわが身を反省してしまった。先ほどのジュース工場見学の際にいただいたアサイをジュースにして出していただく。まったりとして、ちょっとお汁粉を濃くしたような舌ざわり、甘みと少し酸味があって独特の風味がある。
食事の後トメアス文化協会を表敬訪問し、H先生が自然学校のプロジェクトの現状を説明された。その後文化協会の2階にある資料館を見学、移民の森、移民の家を見学した。トメアスの現状や移民の歴史・アグロフォレストリーについてはトメアスのホームページを参照。
   

高松農場文化協会訪問の後、アグロフォレストリー農業を行っている高松農場を見学に行く。アマゾンの焼き畑農業によって豊かな緑の森がどんどん減っていくのを防ぐために、日系移民の方が始めた農法だ。高松農場も日本の整然とした畑とは違い、マホガニーやブラジルナッツバナナカカオアセロラ胡椒などなどが交じり合っている。そしてとてつもなく広い。

アサイヤシの実を採るところを実際に見せてもらった。ナイフを口にくわえ、足にかけた紐で木の幹を挟み込んで上手に登っていく。アサイの実を切り取ったら、それを手に持ってするすると降りてくる。実を収穫するのも手仕事だ。ゴム手袋をはめた手でアサイの実を掻き落していく。ホテルでいろいろな種類の果物のジュースを飲んだが、実際どんなふうに木になっているのかを見せてもらい、とても身近に感じられるようになった。
     アサイヤシに登る  アサイのmの収穫
この後は一人ずつ農場に移動し、それぞれのお宅で心づくしのもてなしを受け、初めてのファームステイを体験した。と言っても夕方6時半ごろ農場に到着、翌日はまた7時に文化協会集合で植林に向かうのでほとんど寝る時間しかなかったが。